未払残業代事件、未払賃金事件、未払退職金事件
ケース1「歩合制労働」だという会社側の主張を排斥して勝訴
Aさんは運送会社Bで長距離運転手として勤務していました。遠方への勤務なので途中休憩、車中泊を入れながら連続5日間労働、夜間・休日労働が常態でした。しかるにB社からAさんに一切残業代が支払われていませんでした。また、B社はAさんを含む従業員に不況を理由に退職勧奨を行い、Aさんがこれを拒むとAさんに一切仕事を与えなくなり、Aさんからの就労可否の問い合わせを長期間無視し続けました。B社の給与体系は歩合制であるため、Aさんは全く収入がない状態が続きました。そこでAさんはB社を退職することを余儀なくされました。
退職後Aさんは当事務所の弁護士に相談し、未払いの残業代を計算すると金500万円以上あることが判明しました。また、B社がAさんに仕事を与えないのは嫌がらせ退職強要であり、違法であるとのアドバイスを受けました。そこでAさんは弁護士に依頼してB社に対し残業代請求と嫌がらせ退職強要について損害賠償請求する訴訟を仙台地方裁判所に提訴しました。約1年半の審理を経て仙台地裁はAさんの訴えをほぼ認め、B社に残業代とそれと同額の付加金(残業代を払わないことに対するペナルティ)の支払まで命じました。また、Aさんに対する嫌がらせ退職強要も認定しB社に損害賠償も命じました。B社は仙台高等裁判所に控訴しましたが、仙台高裁もAさんの訴えを認めB社の控訴を棄却しました(ただし、付加金は認められませんでした)。B社はさらに最高裁に上告しましたが、最高裁はこれを棄却し、Aさんの勝訴が確定し、AさんはB社から満額の支払を受けました。
ケース2「管理監督者」、「固定残業代」だという会社側の主張を排斥して勝利的和解
隣県にある〇〇県〇〇市のAさん(50代女性)、Bさん(30代男性)は東京に本社があるC社の現地食品工場の責任者的仕事に従事しほぼ毎日残業をしておりました(帰宅は毎日夜9時過ぎ)が、C社から一切残業代が出ていませんでした。2人はC社を退職後労基署に残業代不払いを申告し、労基署は是正監督命令を出しましたが、C社はこれに従いませんでした。そこで2人は当事務所の弁護士を依頼してC社を相手に未払残業代請求訴訟を仙台地方裁判所に提起しました。訴訟の中でC社は、「2人は残業などしていない」、「仮にしていたとしても2人は管理監督者である」とか、「当社は固定残業代制度を取っているから残業代は発生していない」等主張して頑強に支払を拒みましたが、裁判所はこれらをすべて排斥しました。そのうえで裁判所は、その強力な仲介でほぼ満額通りの残業代を2人にC社が支払う内容の和解を成立させ、2人に残業代が支払われました。
ケース3「賃金相殺」という会社側の主張を排斥して早期の勝利的和解
Aさんら7人は、宮城県におけるとある復興工事の3次下請C社に雇われて働いていましたが、C社が倒産したため2次下請B社に雇われることになりました。ところがB社はC社が滞納していたAさんらの未払賃金2ヶ月分をC社の代わりにAさんらに立替払いをしていましたが、これでB社が新たにAさんらに支払うべき給料2ヶ月分と相殺すると主張して給料を未払いにしました。そこでAさんらは当事務所の弁護士に相談し、若干減額になってもいいから早く解決したいとのことでB社相手に仙台地裁に労働審判を申し立てました。時期は年末近い11月末でした。労働審判は2回目の期日でB社がAさんら請求額の6割相当額を年内に支払うという内容の調停が成立し、Aさんたちは無事正月を迎えることができました。