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これが本当に日本なのか?深刻な労働実態を告発する!

 当事務所は日常的に労働事件を扱うことが非常に多いです。最近事件を扱っていて思うのは、日本の労働現場は底が抜けているということです。マルクスの資本論(1867年・江戸時代末期)の世界、「蟹工船」(昭和初期)や「ああ野麦峠」(明治~大正時代)の世界とそんなに変わらないというのが私の実感です。この「自由・民主主義の国」の日本で、です。

 A社(外食業)のある労働者が、あまりにヒドイ労働実態のために嫌気がさして退職届を提出しましたが、A社は「まだ話し合いが十分ではない」などと言って受理を拒否し、退職に伴う諸手続(離職票の発行、年金、健康保険手続等)の履行を拒んでいます。しかし、労働者は企業の奴隷ではありません。労働者には退職の自由があります。民法第627条第1項は、労働者はいつでも解約の申入れをすることができる、この場合、雇用は解約の申入れがあったときから二週間を経過することによって終了すると規定しています。この規定は「両当事者は」との体裁ですが、労働者に関しては強行規定(合意による潜脱を許さない規定)と言われています。したがって、A社の上記対応は完全に違法であり、それ自体損害賠償請求の対象になります。

 B社(塾)のある労働者(塾講師)は、採用時の契約は「業務委託契約」でした。委託料は月わずか10万円です。これで毎日午後1時から午前1時頃まで12時間働かされました。休憩はなく、夕食はある教室からある教室へ移動するときにコンビニのおにぎりなどを掻き込む程度です。「業務委託」(つまり委任契約)ですから、当然残業代は支払われません。なぜなら、委任契約において受任者は、われわれ弁護士と同様、業務時間、業務場所、業務内容等について広範な裁量権があるからです(つまり、「今日は気分が乗らないから明日仕事をする」ということが許される、要は期限までに仕事をすればよく、委任者から業務時間、場所、内容等にいちいち指図を受けない)。しかし、上記労働者はこのような広範な裁量権などありえず、労働時間、労働場所、労働内容について自分で決めることなどあり得ませんでした。つまり、「業務委託契約」は全くの脱法です。月10万円を算定基礎賃金として時間当たり賃金を計算すると金446円であり、これは宮城県の最低賃金時給696円を大きく下回るものであり、完全な最賃法違反です。この労働者(まだ20代)は精神的におかしくなり、会社に辞めたいと申し出たところ、会社は夜中に労働者の自宅に職員2名を派遣し「今辞められると困る。損害賠償請求する」と脅しました。上記のとおり、労働者には退職の自由がありますから、損害賠償請求云々は完全な嘘っぱちです。

この日本で、「自由・民主主義国家」日本で未だにこのようなやり方がまかり通っているとは大きな驚きです。でもこれが日本の実態なのです。